オフィス移転にかかる費用は数百万〜数千万円だといわれています。金額は立地、オフィスの広さ、従業員数、企業規模などによって大きく変わります。
そこで、オフィスの移転で発生する退去時と入居時の費用の概算についてご説明します。オフィスの退去時に発生するのは原状回復工事費、不用品・廃棄物処理費、賃料です。原状回復工事費は、20坪以上50坪以下の小規模オフィスなら1坪につき3〜5万円かかり、50坪以上の大規模オフィスなら1坪につき5〜10万円かかります。
近年、オフィス移転を検討する企業が増加しています。
新型コロナウイルス感染症の流行や働き方改革、テレワークといった新しい働き方が注目されていること、事務所などの建築物の老朽化による新設オフィスへの移動、企業の生産性向上、経費削減と理由はさまざまです。
しかしながら、どのようなオフィス移転も高額な初期費用がかかり、かかる費用は立地やオフィスの規模によって変化します。「オフィス移転をすると、どれくらいの費用がかかるのだろう……?」と疑問に思われている企業経営者や総務担当者、会計担当者の方もいるのではないでしょうか。
今回はオフィス移転にかかる費用の概算と諸経費、節約方法とオフィス移転の実例についてご紹介します。
オフィス移転にかかる費用は数百万〜数千万円だといわれています。金額は立地、オフィスの広さ、従業員数、企業規模などによって大きく変わります。
そこで、オフィスの移転で発生する退去時と入居時の費用の概算についてご説明します。オフィスの退去時に発生するのは原状回復工事費、不用品・廃棄物処理費、賃料です。原状回復工事費は、20坪以上50坪以下の小規模オフィスなら1坪につき3〜5万円かかり、50坪以上の大規模オフィスなら1坪につき5〜10万円かかります。
不用品・廃棄物処理費の平均的な費用は、2トン車で7〜8万円、4トン車なら12〜15万円になります。
賃料は、物件の契約内容によって異なりますが、3〜6ヵ月前の解約予告に基づいて支払いを行います。
オフィスの入居時に発生するのは敷金、礼金、仲介手数料、保険会社加入料、火災保険料、前賃料、内装工事費、設備工事・通信工事費、備品・家具購入費、広告・告知費、引っ越し費用、届出書類の作成費用です。
敷金は、物件の契約内容によって異なりますが、20坪以上50坪以下の小規模オフィスなら賃料4〜8ヵ月分、50坪以上の大規模オフィスなら賃料6〜12ヵ月分かかります。礼金も物件の契約内容によって異なり、無料または、賃料1〜2ヵ月分かかるケースが多いです。さらに、仲介業者を通した場合の仲介手数料は無料、賃料半月分、または賃料1ヵ月分になります。
その他に必要と思われる費用を列記します。
【参考】[【概算表あり】オフィス移転にかかる費用は?コストを抑える方法もご紹介]
オフィス移転の際には莫大な金額がかかることが、概算からイメージできると思います。
続いて、オフィス移転でかかる費用の概算の中でもはずすことのできない新オフィスの契約費用、設備費用、引越し費用、原状回復費用の内訳と、どういった費用かについてをご説明します。
新オフィスの契約費用は、不動産取得費用で構成されます。不動産取得費用にあたるのは、前賃料、敷金、礼金、仲介手数料、火災保険料、保証会社利用料です。
前賃料は、契約開始日から翌月分の賃料を前払いすることで、個人の賃貸契約でも行うことですので、賃貸契約のなかでは馴染みのある方も多いでしょう。
敷金は、オフィスとなる物件の面積・規模によって金額が変化し、小規模オフィスなら4〜8ヵ月分、大規模オフィスなら6〜12ヵ月分が相場で、多くは退去時に返金されます。礼金は、契約する物件の契約内容によって払う場合と払わない場合があり、払う場合は1〜2ヵ月が多いですが、敷金とは異なり退去時に返金されません。
火災保険料は、1〜5年で契約できますが2年が多く、2〜3万円かかります。もしものリスクに備えるものですので、契約時に加入が義務付けられていることがほとんどです。賃貸契約の期間の途中に退去する場合、保険解約の手続きをすれば残った期間の保険料は返金されます。
保証会社利用料は、オフィスとなる物件を賃貸契約する際に保証会社の利用が必須の場合などにかかり、およそ賃料の1ヵ月分を求められるケースが多いでしょう。
新オフィスの設備費用は、内装工事費、インフラ整備費、什器購入費用で構成されます。内装工事費にあたるのは天井、照明の設置や壁、床の仕上げです。一般的なオフィスの内装で1坪につき10〜40万円かかります。
レイアウト、デザインにこだわった内装にする場合はプランニング料として、別途追加で費用かかるため、費用を抑えたい場合は社内を含めた打ち合わせを密に行いましょう。インフラ整備費とは、電気工事、空調設備、地震・水害に備えた防災設備を指し、1坪につき、20〜35万円かかります。こちらの費用にはハードウエア設置費は含まれていないため、さらにネットワーク機器や電話機を設置する場合は、追加で費用かかります。
什器購入費用にあたるのは、デスク・チェア、収納ワゴン、応接セット、カウンターなどのオフィス家具や備品の購入費用で、配送費も含みます。オフィス家具を新調する際は、従業員1人につき、5〜30万円程度を目安にするとよいでしょう。
新オフィスの引っ越し費用は、引っ越し費用、電話・ネットワーク工事費で構成されます。引っ越し費用は、引っ越しの繁忙期を含め、移転先までの距離、荷物の量、物件の条件によっても変わってきますが、従業員1人あたりにかかる費用は2~3万円と考えると良いでしょう。ネットワーク工事費用にあたるのは、LAN・光ケーブルの開設、ネットワーク機器の設置、電話回線といったインフラ整備です。1坪につき20〜35万円程度かかるとみられ、専門業者に工事を依頼することが必須となるため従業員1人につき、5〜15万円が相場とされています。
旧オフィスの原状回復費用は、原状回復費、不用品・廃棄物処理費、賃料、水道光熱費で構成されます。
原状回復費用は、旧オフィスを退去する際に入居時と変わらない状態へ戻すための工事費用で、物件によってはオーナーや管理会社が指定する業者によって、工事が実施される場合があります。
経年劣化や回復箇所の状態によって金額が変化しますが、1坪につき、3〜5万円程度が目安となるでしょう。
不用品・廃棄物処理費は、新オフィスでは使用しないオフィス家具や什器を処分する費用で、捨てる量によって価格が変化します。
平均的な費用は、2トン車で7〜8万円、4トン車なら12〜15万円ですが、不用品・廃棄物処理費は自治体ごとによって異なりますので、廃棄方法を含め、あらかじめ各自治体に問い合わせましょう。
また産業廃棄物の処理には、リユース業の買い取りも利用してみましょう。買い取りができないものは、収集運搬業者・産業廃棄物処理業の許可を持つ業者に処理を依頼することが一般的ですが、パソコンや機密書類の廃棄には十分な対策が必要です。
オフィス移転費用を抑えて安くできた方がいいと思う方が多いでしょう。
オフィスを移転する際に発生する金額を節約する方法の一例をご説明します。
節約する方法は、コンサルタントを利用する、複数の業者から見積もりを取る、工事関連を一社に任せる、オフィス家具や什器・備品を再利用する、フリーレントの交渉を行う、居抜き物件を選ぶ、レンタルオフィス・シェアオフィスを利用することです。
コンサルタントを利用することで、オフィス移転を行う際に発生する膨大な作業量をさばくことができますし、さらに、オフィス移転の作業の大半を一括請け負いしてくれるコンサルタントを利用すると、移転する際にかかる時間や人員のコストカットが期待できます。
複数の業者から見積もりを取るメリットは、予算やサービス内容が分かることです。複数の業者から見積を取ると、どこまで予算を出せるかだけでなく、予算に基づいた高クオリティーのサービスを提供してくれる業者を見つけられる確率が高まります。しかしながら、見積書の書式、項目が業者によって異なるため、単純比較はできない点にご注意ください。
また、工事関連を一社に任せることで、スケジュール調整の手間を省くことができます。業者によっては、それぞれの分野を専門業者に委託・発注を一括代行してくれるケースもありますので、相談してみるとよいでしょう。
オフィス家具や什器・備品を再利用することでも、什器購入費用の経費削減が可能となり、予算が増えます。経年劣化により使用が困難である、従業員の怪我・病気につながる場合は、新調した方がよいが、上記のような理由がない場合は新オフィスでも再利用した方が、費用を抑えられます。
新オフィスの賃貸契約の際、フリーレントの交渉を行うことで一定期間家賃の支払いが免除されます。駅から遠い、築年数が古い物件は交渉によって一定期間フリーレントになる確率が高いと考えられますが、しかしながら、従業員の交通費が旧オフィスよりもかかったり、天災が起こったりした場合に甚大な被害をこうむる可能性がないとはいえません。また、フリーレント期間中も水道光熱費を始めとした維持費がかかることや、解約禁止期間の特約が設けられている場合は、違約金が発生することも理解しておきましょう。
タイミングや状況によっては居抜き物件を選ぶことで、什器購入費用の経費削減が可能となり、予算が増えます。居抜き物件は内装、家具がそのままの状態になっている物件で、前の入居者が使っていた家具を利用できるメリットがありますが、退去時には、原状回復工事が必要となる点にご注意ください。
希望の物件が空くまでの期間や、退居から入居までに一定期間が必要な場合などは、レンタルオフィス・シェアオフィスを利用することで、初期費用が抑えられます。しかしながら月額費用が賃貸よりも割高な傾向にあるので、長期間入居には向いておらず、結果的には費用がかかってしまうおそれがあります。
移転中の仮オフィスとしての利用をおすすめします。
【参考】[オフィス移転にかかる費用の相場と内訳を紹介!費用を抑えるポイントも解説](https://kagu.plus.co.jp/3328/#)
最後にオフィス移転を行った企業の実例を3つご紹介します。
1.人事コンサルティング(人材開発・教育研修)
従業員数:約35人
働きたい場所を選べる、出社するのが楽しみになるオフィスづくりを行いました。新オフィスは従業員がプロジェクトや業務ごとに、働く場所を自分で選べる構造となっています。執務エリアに、状態のよく新オフィスのイメージに合った中古什器を部分的に使用し、出費を抑えました。また業務上頻繁に活用する書籍、データ資料をハイシェルフに置くことで従業員が情報をシェアしやすくなっています。デザイン・カラーは実際にオフィスで働く従業員の声を取り入れており、エリアごとに合ったカラーの什器を使用するなど、スタイリッシュであたたかみのある空間が完成しました。
2.成果報酬型テレアポ代行会社
従業員数:約80人
事業のめざましい成長および従業員数の増加によりオフィス移転を行いました。今後も従業員が増加した際は、座席、リフレッシュスペース、バックヤードのスペースの比率をすぐに変えられる構造となっており、什器類も移動可能なものを使用している点が特徴です。デスク・チェアともに個人、複数、移動タイプと豊富な仕様となっています。休憩、リフレッシュ、業務に集中したいときなど、使い分けができるので従業員から好評です。来客用会議室は、来客や商談に来た他社の社員、面接に来た学生や社会人が、従業員の働く姿を見学できるように工夫されています。
3.大手旅行事業
従業員数:160人
3ヵ月という短いスケジュールでオフィス移転を行い、見事に成功させました。従業員間で新しいコミュニケーションが行えるように各フロアで色や、デザイン、機能の特色が異なります。来客フロアである6階の一角に設けられたリフレッシュスペースは、従業員の交流の場として活用されています。また7階は開放的なワーキングスペースを設けました。
従来の既成概念から新しい働き方に目を向け、多様なワークスペースを構築し、フリーアドレスを導入しました。その結果、電話機器やデスクの移動にかかる手間と経費がなくなり、社内外の評判も高く、従業員も旧オフィスで働いていたとき以上に元気に明るく働けるようになりました。
【参考】[出社したくなるオフィスづくり|株式会社セレブレイン](https://www.zeroin.co.jp/soumuservice/cases/office_celebrain/)
[業務拡大に伴う本社オフィス移転プロジェクト|株式会社ディグロス](https://www.zeroin.co.jp/soumuservice/cases/office_dgloss/)
[株式会社エイチ・アイ・エス 様](https://office.uchida.co.jp/case/his.html)
オフィス移転で発生する費用は多額で、支払時の項目が非常に多いため、節約をする方法は多岐にわたり、工夫すればするだけ費用を抑えることができます。
オフィス移転は会社の成長に合わせて検討し、移転する際は利用できるものは再利用するなどして少しでも余分な出費を抑えたり、社内だけでなく業者とも綿密な打ち合わせを重ねてコストカットをしたりして、予算内に納められるように柔軟に対応していきましょう。
オフィス移転で発生する費用の相場を細部まで把握し、オフィス移転までの期間に余裕をもって業者やサービス内容を吟味して、企業や会社にとって最適な内容のものを取捨選択することが一番大切です。
一人では負担が大きいため、数人のオフィス移転チームを作り、情報を共有しつつ勧めていくことが何より大切です。
舛田 羊一
大手家具メーカーで家具の設計、国内上場企業のオフィスプランナーとして勤務。その後、2015年に現研究所を設立し、国内外のミュージアムプロデューサーやライブラリーなどの空間プロデューサー兼デザイナーとして活動中。
春うららかな書房では、空間プロデューサーとしてオフィス空間のトータルプロデュースを行っている。
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