オフィス空間にグリーン(観葉植物)を配置する企業が増えています。
単なるインテリアの一種くらいに思われるかもしれませんが、観葉植物はエントランスやロビーなど人目につく場所に置くことで企業全体のイメージアップに貢献し、さらに近年では視界にグリーンが入ることで業務効率が向上するという研究結果も出てきました。
オフィスに観葉植物を取り入れることで、空間がおしゃれになり、従業員のリラックス効果や生産性向上が期待できるということです。
しかし観葉植物といってもその種類は多岐にわたり、どれを選べば良いか迷う場合もあるでしょう。
この記事では、オフィスの利用場所に適した観葉植物の選び方、おすすめの植物などを紹介します。オフィスにぴったりの観葉植物を見つけ、グリーンに彩られた快適な職場作りに役立ててください。
オフィスの利用場所に適した観葉植物の選び方
観葉植物を導入する際は、オフィスの設置場所に適したものを選ぶことが大切です。
たとえば、エントランスには訪問者を歓迎するための華やかな植物が適していますが、デスク周りにはコンパクトで手入れが簡単な植物が向いています。
ここでは、オフィスの利用場所にあわせた観葉植物の選び方について詳しく解説します。
エントランスやロビーのおすすめ観葉植物
エントランスやロビーは来客者に強い印象を与える、いわば企業の顔のような場所です。
ここでのおすすめ観葉植物は「サンスベリア」「ドラセナ・マッサンゲアナ」の2つになります。
サンスベリアは空気清浄効果が高くメンテナンスも簡単で、スタイリッシュな見た目が特徴です。元気がない枯れかけた観葉植物を来訪者に見られると企業自体のイメージ悪化につながるため、手入れが楽な植物がエントランス付近に適しています。
ドラセナ・マッサンゲアナは美しい緑と黄色の葉が特徴で、明るい雰囲気を作り出します。エントランスやロビーに置くことで、空間を一層魅力的にします。耐陰性があり比較的少ない光でも育つため、室内での管理が容易です。
デスク周りのおすすめ観葉植物
執務スペースとなるデスク周りには、お手入れが簡単なだけでなくコンパクトな観葉植物が適しています。
それを踏まえると、「ポトス」「エアープランツ」の2つの観葉植物が特におすすめです。
ポトスは小さなサイズでデスクにぴったりで、耐陰性があり育てやすい植物です。デスクの上に置くだけでなく、吊り下げることもできるため、限られたスペースでも活用できます。しかも空気中の有害物質を吸収する力が高く、オフィス空間を清浄化してくれます。
エアープランツは土を必要とせず、どこでも置ける便利な植物です。デスクスペースを取らないため作業の邪魔になりません。空気中の水分を吸収する性質があるため水やりの手間が少なく、忙しいオフィスでも手軽に育てられるでしょう。
目的別:オフィスにおすすめの観葉植物
前項では場所ごとに観葉植物のおすすめを紹介しましたが、もっと踏み込んで「○○な観葉植物を導入したい」という具体的な要望がある企業の方もおられるでしょう。
ここでは目的・特徴に合わせた観葉植物のおすすめを挙げていきます。
インパクトがある観葉植物
オフィスの印象を強くしたい場合には、「モンステラ」「アガベ」の2つがおすすめです。
モンステラは大きな葉と個性的な形状が目を引き、活気あるイメージになります。先におすすめしたサンスベリアやドラセナ・マッサンゲアナと同様、広いエントランスやロビーにも向いています。耐陰性があり、室内でもしっかりと育ちます。
アガベはシャープな葉が特徴的で、モダンなオフィスにぴったりです。おしゃれなフォルムと色合いが洗練されたインパクトのある印象を与えます。アガベは乾燥に強く、あまり手間をかけずに育てられるという長所もあります。
お手入れが簡単な観葉植物
忙しいオフィスでも手軽に育てられる観葉植物として、「アンスリウム」「ホヤ」「リプサリス」の3つがあります。
アンスリウムは鮮やかな赤い花が特徴で、少ない光でも育ちます。この植物は湿気が好きなので、週に一度くらい葉に霧吹きで水を与えると良いでしょう。また、明るい場所で育てると花がたくさん咲きます。
ホヤは肉厚の葉があり、水やりの頻度も少なくて済むためお手入れが簡単です。さらに葉がとても丈夫で、美しい花を咲かせることもあります。
リプサリスはおしゃれな形状と垂れ下がる姿が魅力で、育てやすくオフィスに最適です。サボテンの仲間だけあって乾燥に強く水やりの手間がかかりません。吊り下げる設置方法にも対応し、デスク周りを華やかに演出します。
おしゃれな観葉植物
オフィスのデザインに合わせて、おしゃれな観葉植物を取り入れたい場合は、特に「フィカス・ベンジャミン」「ドラセナ・マルギナータ」の2つがおすすめです。
フィカス・ベンジャミンは大きな葉と優雅な形状が洗練された印象を与えます。室内のインテリアとしても人気が高く、オフィス全体の雰囲気を高めます。基本的には光を好みますが、半日陰でも育つため室内での管理が比較的容易です。
ドラセナ・マルギナータはスリムな葉がモダンなインテリアにマッチします。この植物は耐陰性があり、光が少ない場所でも健やかに育ちます。おしゃれなフォルムと色合いが特徴で、オフィスのデザイン性を高めます。
枯れにくい観葉植物
オフィス環境でも枯れにくい観葉植物としては、「サボテン」「パキラ」の2つがおすすめです。
サボテンは多肉植物の一種であり、葉や茎に水分を蓄える能力が高いため乾燥に強く、長期間水をやらなくても枯れにくい特徴があります。デスクの上に置くだけで、デザイン性のあるインテリアとしても機能します。
パキラは耐陰性があり、乾燥にも強いためオフィスでの育成が簡単です。緑の船のような形の葉っぱが特徴で、空間に個性的な彩りを添えてくれるでしょう。
オフィスに観葉植物を置く際の注意点
観葉植物は生き物なので、オフィスに置く際にはいくつかの注意点があります。
まずは、葉水(葉に霧吹きスプレーなどで水を与えること)を忘れずに行い、適切な湿度を保つことが重要です。特にエアコンの効いたオフィスでは空気が乾燥しやすいため、定期的に葉に水を与えることが健康維持に欠かせません。
また、定期的に日光浴をさせることで観葉植物の成長を促しましょう。
適切な水やりや肥料の管理も、観葉植物の健康を維持するために重要です。水やりは植物ごとの適切な頻度を守り、過剰な量を避けることで根腐れを防ぎます。
これらの点を押さえておけば観葉植物を健康に育てられるでしょう。オフィスの場所や目的に合わせて観葉植物を選び、適切な管理を行うことで、長期間にわたって美しいグリーンを楽しめるようにしてください。
まとめ
オフィスに観葉植物を取り入れることで、空間がおしゃれになり、従業員のリラックス効果や生産性向上が期待できます。
しかし観葉植物は生き物であり、適切な健康管理が求められます。それぞれの品種に適した方法で水分や日光をコントロールし、きれいな姿をできるだけ長く保てるようにしましょう。
どうしても手入れが大変な場合は、人工の観葉植物である「フェイクグリーン」を活用するのも一つの方法です。生きた植物のように成長していく様子を楽しむことはできませんが、低コストかつメンテナンスフリーな点は非常に優秀といえます。どの観葉植物を選ぶか、どのように管理するかをしっかりと考え、おしゃれで快適なオフィスを作り上げてください。
監修
舛田 羊一
- 舛田建築design研究所CEO
- 春うららかな書房 家具事業部 部長
- 一級建築士、環境経営士、宅地建物取引士
大手家具メーカーで家具の設計、国内上場企業のオフィスプランナーとして勤務。その後、2015年に現研究所を設立し、国内外のミュージアムプロデューサーやライブラリーなどの空間プロデューサー兼デザイナーとして活動中。
春うららかな書房では、空間プロデューサーとしてオフィス空間のトータルプロデュースを行っている。
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