オフィス緑化から得ることが出来る効果とは?


 

現在、オフィスの緑化を検討している企業も多いのではないでしょうか。

オフィスにグリーンを取り入れることで、さまざまな良い効果を期待することができます。

みなさんがまだ、頭に思い浮かべていないような効果もあるかもしれませんので、ここで一度確認してみましょう。

この記事では、さまざまあるオフィス緑化のメリットを解説するとともに、オフィス緑化の導入を実現する方法について解説します。

オフィスでチームメンバーとのミーティング風景

オフィス緑化とは?

まずは、それぞれ企業の担当者は、オフィス緑化を導入するためにも、その意味を正しく理解する必要があります。

オフィス全体に壁面緑化を行っている企業も散見することができるのですが、大半は壁面緑化を含めオフィスに花や観葉植物を置くことをオフィス緑化と言います。決して、オフィス緑化導入のハードルは高くないため、会社全体の壁面緑化を実現することよりも気軽に向き合うことができるでしょう。

社員のデスク周辺や、会議室、玄関、受付……など、オフィスのいたるところに花や観葉植物などを配置し、緑が一杯にあふれたオフィスにすることで、そこで仕事をしている人たちのリラックス効果や、集中が高まることによる生産性の向上など、さまざまな効果を期待することができます。

そのような意味では、オフィス緑化は、大事な「企業戦略」としてとらえてもよいでしょう。

一方で、オフィスを緑化すること自体、仕事とは関係のないもの……というとらえ方をしている企業もあります。

本当にオフィス緑化が仕事と無関係であるのかは、この記事を最後まで読んでいただければはっきりさせることができるでしょう。

屋上緑化

オフィス緑化で得ることができる効果

オフィス緑化とは、一言でいうと「オフィスの中にグリーンを設置する」という簡単なことですが、たったそれだけの試みで、従業員のストレスを軽減させることができ、目の疲労軽減や、社員同士、取引先、お客様とのコミュニケーションも向上させることができます。

グリーンへの水やり

ストレスの軽減

植物が身の回りに存在している環境では、リラックスできる状態を維持できることが報告されています。

千葉大学により行われた学術調査によれば、デスクの上に植物がちょっと置かれてあるだけで、リラックスすることができ、副交感神経の動きが29%も高まり、逆に、ストレス神経として知られる交感神経の動きは25%ダウンするという結果が報告されています。

また、最近の研究では、植物のある生活は植物のない生活と比較して疲労や眠気などが軽減されることもわかってきています。

普段マイペースに仕事をしている社員でも、仕事を続けている以上ある程度の緊張感をもって向き合っているはずです。そこで生まれるストレスをその都度解消できれば問題はないのですが、日本人の場合、それができない人がとても多い傾向にあります。ストレスをそのまま放置しておけば、いずれ累積して大きな病気につながっていく可能性も否定できません。

オフィス緑化は、普段仕事をしているときに抱えている余計な緊張感や心理的ストレスをやわらげてくれる効果を期待することができます。

【参考】

特集1 楽しみませんか?もっと花のある暮らし(農林水産省)

https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1502/spe1_01.html

サイエンスで知る花と緑のパワー(千葉大学環境健康フィールド科学センター 自然セラピープロジェクト)

https://www.maff.go.jp/j/seisan/kaki/flower/f_kouyou/pdf/24_leaflet1.pdf

目の疲労を軽減

オフィスは長時間にわたりパソコンを使う場所でもあり、目を使いすぎると、肩こりや、吐き気、頭痛、イライラの原因にもなるでしょう。

愛媛大学では、30分間パソコン作業をしたあと、緑を5分見る動作を6回繰り返す実験が行われ、何もない状態や華やかな色の植物よりも、「緑色の植物」や「まだら入りの植物」で視覚疲労をやわらげてくれることが判明しています。

フェイクグリーンでも同様の視覚疲労の効果は得られますが、オフィスに本物の植物を導入する場合は、植物が放出している水蒸気によりオフィスの湿度調整やドライアイを軽減する効果も期待できるでしょう。

【参考】植物には目の疲れを癒す効果があるの?

http://web.agr.ehime-u.ac.jp/~pgs/amenity/cff.html

パーティションの代用

パーティションとは間仕切りや、仕切りやつい立によって分けられたスペースのことを言います。パーティションを設置することで、視覚的に周囲から切り離された環境を手に入れることができますが、仕切られたスペースに対しての圧迫感は避けることができないかもしれません。

そこで無機質な仕切りを観葉植物の鉢植えに置き換えたり、フェイクグリーンを使用したグリーンパーティションを導入したりすれば、視界から感じる圧迫感を減らすことができるでしょう。

コミュニケーション向上

オフィスにグリーンを導入することで、無機質なオフィスから自然につながる開放感を得られるオフィスに変えることができるでしょう。

至るところで目に入るグリーンの効果により、ふとした時に気分転換になりリラックスできますし、明るい雰囲気に感じられるオフィスにいることで生き生きと仕事と向き合うことができれば、おのずと従業員間のコミュニケーションも増えて笑顔になれる機会も多くなり、作業効率も向上することが期待できます。

オフィス緑化を導入する方法

それでは、オフィスに導入できる緑化アイデアをご紹介します。

多種類のグリーン組み合わせ写真

プランター・鉢植えを置く

一番手っ取り早くオフィス緑化を実現できるのは、玄関やプランターや鉢植えを置くことです。

予算のこともあるため、まずは、無理のない価格帯のものから始めてみましょう。

できるだけ管理しやすい植物を選ぶことも大事なポイントです。

  • 葉っぱが落ちにくい植物
  • 水やりの回数が少なくて済む植物
  • 成長がゆっくりで、大きくなりにくい植物
  • わずかな日光照射でも大丈夫な植物

などを選ぶといいでしょう。

「サンスベリア・ハニー」

種類がいろいろあり、個性的な形をしていて現在人気のある植物です。

「テーブルヤシ」

育てるハードルが低く、小さな花が咲く魅力的な植物です。

「アロエ」「パキラ」

水やりの回数や日光にあてる時間を少なく済ますことができる植物です。また、パキラは風水で仕事運アップを期待できる縁起のいい植物としても人気です。

天井からつるす

オフィスの緑化を積極的に導入したいけれど、実現するためのスペースが取れない場合は、天井からつるすハンギングポットを使用するなど、空間を有効活用して植物を取り入れてみましょう。

吊り下げ型のプランターやグリーンアイテムを取り入れるなどして観葉植物を設置することで、開放的な空間を演出することが可能です。

棚に置く

オフィス緑化を実現するためには、観葉植物の設置スペースを確保することが必要ですし、具体的配置レイアウトを決めることが大事です。

スペースに余裕があるからと適当に観葉植物を設置すれば、動線の妨げにもなってしまい、業務に支障をきたすことがあるため注意しましょう。

背が低い小さな観葉植物を選べば、個人のデスクの上や空いている棚などを活用して容易にグリーンを取り入れる事ができ、ちょっとしたスペースを緑に割り当てるだけで、オフィスの印象を明るくすることができるでしょう。

壁を装飾する

オフィスの緑化には、壁にグリーンウォールを設置する方法もあります。

壁一面を植物で覆う壁面緑化は、おしゃれ感満載のインテリアでもあり、いらっしゃるお客様や取引先にも新鮮なインパクトを与えることができます。

取引先との交渉には、第一印象が大きく影響するとも言われています。オフィスの第一印象を最良にするため、会社の顔である、玄関の壁などに壁面緑化の導入を検討してみるといいでしょう。

オフィス緑化で注意しなければならないポイント

水や肥料などの管理・メンテナンス

リアルな植物は、当然のことですが、日常のお世話を欠かすことができません。水やりは重要なポイントですが、単に水をあげればそれで良しというわけでもないため注意が必要です。

あげる水の量が少なすぎれば、土が乾いてしまい段々と弱っていくでしょう。だからといって、水をやり過ぎれば、植物が水を吸収しきれず、根腐れなどが起きてしまう可能性があります。

植物にとってちょうどいい水の量はどの程度なのか……を正しく理解した上で水やりを行うことが大事です。

グリーンのメンテナンス風景

最適な緑視率を理解する

「緑視率」とは、私たちの視界を占めているグリーンの割合のことを言います。視覚的に緑の量を計測する時に使用され、街づくりや建物設計の指標として使われています。

オフィスの中でのベストな緑視率は10~15%程度との研究結果もあり、その環境内にいるとき人のストレスが減り、パフォーマンスが最も向上すると言われています。

また、緑視率は25%を超えると緑が多すぎると感じ、圧迫感や、うっとおしさを感じる方もいるため、適切な範囲内でのグリーンの導入が大切です。

【参考】緑視率
https://xtech.nikkei.com/dm/atcl/word/15/327920/101000034/

虫や病気にも注意が必要

室内のスペースに置かれた植物でも、虫がついたり病気になったりすることがあり、植物が育つことを阻害してしまうリスクもあるため、適切な管理が重要です。

しかし、観葉植物の管理に手間を取られて本来の仕事に支障を出さないために、事前に管理方法を教わり日常の管理は社内で行い、定期的なメンテナンスは専門業者に任せることがよいでしょう。

また、メンテナンスを楽にしたい場合は、フェイクグリーンを導入するのがおすすめです。ホコリを払う程度で水やりも虫の心配もないため、管理費用の節約にもなるでしょう。

最適な環境を整える

植物は成長によって、現在植えている鉢やプランターなどのサイズを変えなければならない必要も出てきます。成長しても鉢のサイズを購入時のまま放置すれば枯れてしまう可能性もあるため、必要に応じ大きな鉢への植え替えなども行うようにしてください。

フェイクグリーンの観葉植物も近年はリアルさが増しており、成長することもなく手軽に取り入れることができるため人気がでてきています。

まとめ

いかがでしょうか。今回は、オフィス緑化のメリットとともに、取り入れ方や注意点について解説しました。

リラックス効果、視覚疲労の緩和、コミュニケーションの向上など、オフィスにグリーンを取り入れる効果は絶大です。

オフィス緑化は選択肢によってはハードルが低く手軽に導入できますが、リアルの植物を取り入れる場合は安易な考えではうまく管理ができないこともあり得ますし、期待している効果を得ることができないこともあるでしょう。

快適なオフィス環境を整えて、先に挙げたさまざまな良い効果を得ることができるようにグリーンの導入はすぐにでもおすすめしたいところですが、まずは、しっかりとオフィス緑化とはどのようなものであるのかを正しく理解することからはじめ、やりすぎも逆効果になる可能性があることを念頭に、長期的視点に立って導入計画をたてることが大切です。

ウォールグリーン

監修

舛田 羊一

舛田 羊一

  • 舛田建築design研究所CEO
  • 春うららかな書房 家具事業部 部長
  • 一級建築士、環境経営士、宅地建物取引士

大手家具メーカーで家具の設計、国内上場企業のオフィスプランナーとして勤務。その後、2015年に現研究所を設立し、国内外のミュージアムプロデューサーやライブラリーなどの空間プロデューサー兼デザイナーとして活動中。
春うららかな書房では、空間プロデューサーとしてオフィス空間のトータルプロデュースを行っている。

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