チェックリストを活用して失敗しないオフィス移転の進め方


 

オフィス移転は会社の成長や変革の象徴であり、新しい環境でのビジネスの拡大と効率化を図るための重要なステップです。

しかし、計画不足や準備の不備が原因で、予期せぬトラブルが発生することも少なくありません。新しいオフィスにスムーズに移転するためには、詳細な計画と徹底したチェックリストの作成が必要です。

この記事では、オフィス移転を成功させるためのスケジュールとチェックリストを詳しく解説します。

オフィス移転前の片付け風景

オフィス移転のスケジュールとチェックリスト

オフィス移転は大規模なプロジェクトであり、長期的な計画が必要です。

以下に示すスケジュールに従って準備を進めることで、移転プロセスをスムーズに進行させることができるでしょう。

チェックリストの写真

オフィス移転の6ヶ月~8ヶ月前にやることチェックリスト

最初に行うべきことは、プロジェクトチームの編成です。

オフィス移転を担当するプロジェクトチームを編成し、役割分担を明確にすることが重要です。移転担当者、IT担当者、施設管理担当者など、各分野の専門家を含めることが望ましいでしょう。定期的なミーティングを設定して進捗状況や課題を共有することで、チーム全体の連携を強化しながら問題の早期発見と解決を図りましょう。

次に、移転先となる新オフィスの選定を行います。

会社の要件に合った新しいオフィスのリストを作成し、現地視察を行います。オフィスの立地、広さ、設備、コストなどを総合的に評価して最適な物件を選定します。リース契約条件を詳細に確認し、必要に応じて契約条件の交渉を行います。契約書には賃貸期間、賃料、保証金、解約条件などの重要事項が含まれていることを確認してください。

その後、予算の確定を行います。移転にかかる全体の費用を見積もって予算を確定します。

引越し費用、内装工事費用、設備費用、予備費用など詳細な費用項目をリストアップし、予算オーバーしないよう適切な資金管理を行います。移転に伴う税務上の優遇措置や助成金の有無を確認し、適用可能な場合は申請を行います。

最後に、従業員への通知を行います。

移転計画を従業員に周知し、意見や質問を受け付けましょう。従業員の不安を軽減し、移転に対する理解と協力を得るために、定期的なミーティングを行って進捗状況を共有します。従業員の通勤経路や通勤時間の変化についても配慮し、必要に応じて通勤手当の見直しやフレックスタイム制度の導入を検討します。

 

6ヶ月~8ヶ月前のチェックリスト

  • プロジェクトチームの編成と役割分担の明確化
  • 定期的なミーティングの設定と進捗状況の共有
  • 新オフィスのリスト作成と現地視察の実施
  • リース契約条件の確認と交渉
  • 移転費用の見積もりと予算の確定
  • 税務上の優遇措置や助成金の確認と申請
  • 移転計画の従業員への通知と質問の受付
  • 通勤手当やフレックスタイム制度の見直し

オフィス移転の3ヶ月~6ヶ月前にやることチェックリスト

この時期には、新オフィスのレイアウトの決定が重要です。

新オフィスのレイアウトを決定し、必要な家具や設備をリストアップします。作業スペース、会議室、休憩スペースなどの配置を考慮して効率的で快適なオフィス環境を作り上げましょう。各部署の配置や従業員の座席を決定し、動線の確保や作業効率の向上を図ることも大切です。

また、ITインフラの準備もこの時期に行います。

インターネット回線や電話システムの手配を行います。新オフィスのインフラ要件を確認し、必要な設備やサービスを選定します。サーバーやネットワーク機器の設置場所を確保し、データ移行計画を策定します。特にセキュリティ対策については万全を期し、データの漏洩や不正アクセスを防ぐための対策を講じてください。

引越し業者の選定も重要なステップです。

引越し業者の見積もりを複数取得し、最適な業者を選定します。過去の実績や信頼性、コストなどを考慮しながら契約を締結します。業者との契約内容を詳細に確認し、搬出・搬入のスケジュールや、梱包・解梱のサポート内容についても明確にしておきましょう。

さらに、各種手続きを開始します。

郵便物転送手続きや住所変更手続きを開始します。郵便局や各取引先に対して、新住所の通知を行います。各取引先や関係機関への移転通知を行い、ビジネスの連続性を確保しましょう。特に重要な取引先には、直接訪問して移転の報告を行うことも有効です。

3ヶ月~6ヶ月前のチェックリスト

  • 新オフィスのレイアウト決定と家具・設備のリストアップ
  • 作業スペース、会議室、休憩スペースの配置検討
  • ITインフラの手配と設置場所の確保
  • データ移行計画の策定とセキュリティ対策の実施
  • 引越し業者の見積もり取得と選定
  • 郵便物転送手続きと住所変更通知の開始
  • 各取引先や関係機関への移転通知

オフィス移転の1ヶ月~2ヶ月前にやることチェックリスト

この時期には、詳細なスケジュールの作成が必要です。

移転当日の詳細なスケジュールを作成し、各担当者に共有します。移転当日のタスクや担当者を明確にしてスムーズな進行を確保します。スケジュールには、部署ごとの移転時間、引越し業者の到着時間、設備の設置時間など細かなタイムラインを含めます。

パッキングの開始もこの時期に行います。

不要な書類や備品の整理を開始し、移転準備を進めます。必要な書類や備品をパッキングし、ラベルを貼って整理します。各部署にパッキング担当者を配置して効率的に作業を進めましょう。また、重要書類や機密情報については、特別な取り扱いを行い、安全に移動させます。

さらに、移転当日の確認を行います。

移転当日に必要な物品や手配を最終確認します。引越し業者との最終打ち合わせを行い、スムーズな移転を確保します。新オフィスでの設備やインフラの最終チェックを行い、不備がないか確認してください。また、予備のスタッフを配置し、移転当日のトラブルに迅速に対応できるよう準備します。

1ヶ月~2ヶ月前のチェックリスト

  • 移転当日の詳細スケジュール作成と担当者への共有
  • 各部署の移転時間と設備設置時間のタイムライン作成
  • 書類や備品の整理とパッキング開始
  • 重要書類や機密情報の特別取り扱い
  • 移転当日に必要な物品と手配の最終確認
  • 引越し業者との最終打ち合わせ
  • 設備やインフラの最終チェックと予備スタッフの配置

オフィス移転の当月にやることチェックリスト

この時期には、移転当日の対応が最も重要です。

各担当者の役割を確認し、当日の流れを再確認します。各担当者がスムーズに業務を遂行できるよう必要な指示を行います。新オフィスの設備やインフラの最終チェックを行い、不備がないか確認します。特に、電気・ガス・水道などの基本的なインフラが正常に稼働しているかを確認してください。

また、移転後の整理整頓も重要な作業です。

新オフィスに到着後、パッキングした物品を整理し、配置を行います。各部署や部門の配置を確認し、業務が円滑にスタートできるよう準備を整えます。移転後の初日を迎えるための準備を整え、従業員がスムーズに業務を再開できるようサポートしましょう。特に、新しい設備やシステムの使い方についての簡単な説明会を開催することも有効です。

オフィス移転の当月のチェックリスト

  • 各担当者の役割確認と当日の流れの再確認
  • 新オフィスの設備やインフラの最終チェック
  • 電気・ガス・水道などのインフラの正常稼働確認
  • 移転後の物品整理と配置確認
  • 各部署の配置確認と業務開始準備
  • 新しい設備やシステムの使い方説明会の開催

オフィス移転後に必要なやることリスト

オフィス移転した後も、スムーズな業務開始のために必要な手続きが残っています。これらの手続きを怠ると、業務に支障をきたすことがあります。

高層階オフィスからの風景

口座・クレジットカード情報の変更

銀行口座の住所変更を速やかに行います。

新しいオフィスの住所を銀行に登録し、口座情報を更新します。また、クレジットカードの住所変更も忘れずに行ってください。新しいオフィスの住所をクレジットカード会社に通知し、カード情報を更新します。

取引先への通知も重要です。主要取引先や顧客に対して、新住所を通知します。

請求書や重要書類の送付先を更新し、取引の連続性を確保します。重要な取引先には直接連絡を取り、移転についての詳細を伝えることも有効です。新しいオフィスの案内図やアクセス方法を添えて通知することで、取引先が訪問しやすくなります。

チェックリストまとめ

  • 銀行口座の住所変更手続き
  • クレジットカードの住所変更手続き
  • 主要取引先や顧客への新住所通知
  • 請求書や重要書類の送付先更新
  • 重要取引先への直接連絡と詳細通知
  • 新オフィスの案内図やアクセス方法の提供

各行政機関への届け出

税務署や行政機関への必要な届出を行います。

税務署に対して、移転に伴う住所変更届を提出します。法人登記の住所変更手続きを行って法的な要件を満たします。必要な場合には税理士に相談し、手続きをスムーズに進めましょう。移転に伴う税務上の優遇措置や助成金の有無も確認します。

社会保険関連の手続きも行います。社会保険事務所に対して、移転に伴う手続きを行います。従業員の社会保険情報を更新し、適切な保険管理を行います。

労働基準監督署への届け出も忘れずに行いましょう。労働条件や労働環境の変更について、必要な手続きを実施します。

各行政機関への届け出のチェックリスト

  • 税務署への住所変更届の提出
  • 法人登記の住所変更手続き
  • 税理士への相談と手続き支援
  • 社会保険事務所への移転手続き
  • 従業員の社会保険情報の更新
  • 労働基準監督署への届け出と労働条件の更新

旧オフィスの原状回復工事

旧オフィスの原状回復工事を手配します。

契約条件に基づき、原状回復工事を実施します。原状回復工事の完了後、オーナーへの引き渡しを行います。オーナーと共に工事の完了を確認し、最終チェックを行ってください。

オフィス移転を成功させる秘訣

オフィス移転を成功させるためには、以下のポイントを押さえておくことが重要です。

まずは詳細な計画とスケジュール管理が鍵です。長期的な計画を立て、スケジュールに沿って進行してください。

各段階での進捗を定期的に確認し、必要に応じて調整を行います。予期せぬトラブルに対応するための予備計画を用意し、柔軟に対応する姿勢が大切です。万が一の事態に備えて、予備日程や予備予算を設定しておくことも有効でしょう。

また、コミュニケーションの徹底も重要です。プロジェクトチーム内だけでなく、全従業員への情報共有を徹底してください。

従業員の不安を軽減し、移転に対する理解と協力を得るために、定期的なミーティングや情報共有を行います。意見や質問を受け付け、柔軟に対応する姿勢が大切です。従業員からのフィードバックを取り入れ、移転プロセスを改善していきましょう。

さらに、専門家の活用も考慮します。引越し業者やITインフラの専門家を適切に活用し、効率的に進めます。

必要な場合にはコンサルタントを導入して、専門的なアドバイスを受けることも検討します。専門家の知識と経験を活用することで移転プロセスを効率化し、トラブルを未然に防ぐことができます。

まとめ

オフィス移転は複雑なプロジェクトですが、詳細な計画とチェックリストを活用することで、スムーズに進行させることが可能です。今回紹介したスケジュールとチェックリストを参考にして、移転プロジェクトを成功させましょう。

オフィス移転は一度きりの大きなイベントではなく、計画から実行までの継続的なプロセスです。この記事で紹介するチェックリストを活用し、計画的かつ効率的に移転プロジェクトを進めましょう。新しいオフィスでの新たなスタートを切り、会社の成長と発展を目指して頑張ってください。

商談後の握手

監修

舛田 羊一

舛田 羊一

  • 舛田建築design研究所CEO
  • 春うららかな書房 家具事業部 部長
  • 一級建築士、環境経営士、宅地建物取引士

大手家具メーカーで家具の設計、国内上場企業のオフィスプランナーとして勤務。その後、2015年に現研究所を設立し、国内外のミュージアムプロデューサーやライブラリーなどの空間プロデューサー兼デザイナーとして活動中。
春うららかな書房では、空間プロデューサーとしてオフィス空間のトータルプロデュースを行っている。

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